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kon×hatena

コンピュータビジョン・パターン認識の研究をしています。聴覚障害のこと、専門のことその他もろもろを投稿していきます。

学会(会議)での情報保障

はじめに

しばらくぶりに書きます.
修論締切が近づき,だんだんと忙しくなってきています.
そんな中で,もうすぐ学会に参加することになっているので,
今までに参加した学会での情報保障*1のあれこれについて書こうと思います.

参加するときに行っていること

学会に参加することになったら,まず,学会の運営に連絡します.
この連絡手段はまちまちで,申し込みフォームの備考欄に記載する場合もあれば,
運営に直接メールで連絡する場合もあります.
申し込みフォームの備考欄に記載する場合,運営も気づきづらいので,
メールでの連絡も行っておくことをおすすめします.

連絡の内容としては,次のようなものを毎回伝えています.

・じぶんは耳が聴こえないこと
・聴講(発表)時に,音声情報を文字通訳,あるいは手話通訳するように手配してもらうことは可能か

情報保障の手配は,学会が行うケースもあれば,自分で行うケースも有ります.
これは,学会の性質によります.
障害者支援技術を多く募っているような学会であれば,Webサイトに情報保障の案内が掲載されているケースも有ります.
幸い,私はこれまで自分で手配するケースはなく,全て学会の運営が用意してくれました.

情報保障の種類について

発表者として学会に参加する場合は,「どのようにして発表するか」を考えなければいけません.
発表を手話で行う場合は,手話通訳者にその手話を読み取ってもらい,音声に通訳してもらうことになります.
逆に,音声で発表を行う場合は,発表時の手話通訳は不要になります.
その一方で,質疑応答時に,質問内容を聞き取れないことがあるため,それをいかにしてフォローするか,が重要になります.
フォロー方法も,「発表時に障害のことを伝え,質疑応答時に声を大きくしてもらうなどの配慮をしてもらう」「運営に予め連絡し,音声→手話/文字通訳をお願いする」といったものがあります.


私の場合は,個人的には,音声→文字通訳が合っているのですが,
文字通訳を利用できないケースも有るため,発表の形式によって,お願いする配慮を変えています.
周囲に人が多く,騒がしいポスターセッションやインタラクティブセッションでは,人の動きも激しく,
文字通訳はあまり適していません.そこで,移動しやすい手話通訳をお願いしています.
このとき,自分が発表者である場合は,手話通訳者が通訳しやすいように,
予め原稿や発表スライドなどを渡しておきます.その上で,当日,打ち合わせをしながら,
専門用語の表現や立ち位置などを決めていきます.

一方,一般講演の場合は,文字通訳をお願いしています.
これは,手話通訳者との距離が遠くなりがちで,手話を読み取りづらいこと,
また,手話通訳者が専門用語を通訳しきれないケースが多いためです.
結果として,質問内容を把握できず,適切な回答ができないこともままあります.
そのため,正確に聞いたままの情報を日本語として読み取ることが可能な文字通訳を利用しています.



おわりに

いくつかの学会に参加して,実感するのは,
「専門性を持った手話通訳者はまだ少ない」ということ.
現状,福祉制度もある程度進み,手話通訳の派遣をお願いしやすくなりました.
しかし,通訳対象として想定されているのは,病院や役所など,日常生活に関わるケースの通訳で,
学会や講演会など,専門性の高い場での通訳はあまり想定されていないように思えます.
今後,大学院や研究者になる聴覚障害者も増えてくるものと思われます.
そんな中で,重要になってくるのは,学問的な専門性の高い手話通訳者の存在です.
私も,何度か,工学の知識を持ったかたに手話通訳をしてもらう事がありましたが,
専門知識を有しているだけあって,非常にわかりやすくなっています.
今後,こういった専門性の高い手話通訳者を増やしていくことは,必要なことです.

なお,私は,国際会議への参加経験はありません.そのため,今回の記事は国内会議の経験談になります.
今後,国際会議に参加する事になった場合,
ASL(アメリカ手話)を利用するか,あるいは,ISL(国際手話)を用いるか,または英語を話すか…
様々な選択肢があるだけに,より悩むことになりそうです.

*1:情報保障=聴覚障害者が文字通訳・手話通訳などを通して,発話内容といった情報を得ること